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コラム

社労士

精神疾患で障害年金は受給できる?対象となる病気と等級の決まり方

目次

  • 1.対象となる精神疾患

  • 2.対象とならない精神疾患

    1. 2-1.ただし例外があります
  • 3.等級はどうやって決まるのか

    1. 3-1.認定基準の考え方
    2. 3-2.診断書の2つの評価欄がカギ
  • 4.「目安」はあくまで目安

  • 5.働いていても受給できます

  • 6.よくある誤解

    1. 6-1.誤解①「精神疾患は障害年金の対象外」
    2. 6-2.誤解②「うつ病と診断されれば必ず受給できる」
    3. 6-3.誤解③「障害者手帳を持っていれば自動的にもらえる」
    4. 6-4.誤解④「初診日はメンタルクリニックに行った日」
  • 7.まとめ

「うつ病でも障害年金はもらえるのでしょうか」
「精神の病気は対象外だと聞いたのですが…」

当事務所にも、このようなご相談が多く寄せられます。

結論からお伝えすると、精神疾患は障害年金の対象です。 ただし、すべての精神疾患が対象になるわけではなく、等級の判断方法にも身体の障害とは異なる特徴があります。

今回は、精神疾患で障害年金を請求する際に知っておきたいポイントを解説します。


1.対象となる精神疾患

国の障害認定基準では、精神の障害を次の6つに区分しています。

  • 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
  • 気分(感情)障害(うつ病・双極性障害など)
  • 症状性を含む器質性精神障害(認知症、高次脳機能障害など)
  • てんかん
  • 知的障害
  • 発達障害

うつ病・双極性障害は「気分(感情)障害」に、発達障害(ASD・ADHDなど)は「発達障害」に含まれ、いずれも障害年金の対象です。


2.対象とならない精神疾患

一方で、認定基準には次のように明記されています。

人格障害は、原則として認定の対象とならない。

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。

ここでいう「神経症」には、不安障害・パニック障害・適応障害・強迫性障害・PTSDなどが含まれます。

2-1.ただし例外があります

神経症について、認定基準には続きがあります。

ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。

つまり、診断名が神経症に分類されるものであっても、実際の症状が精神病の状態を示している場合は対象になり得ます。

この判断は診断書の記載内容に大きく左右されるため、医師とのやり取りが特に重要になる部分です。


3.等級はどうやって決まるのか

精神疾患の場合、病名で等級が決まるわけではありません。 日常生活にどれだけ支障が出ているかで判断されます。

3-1.認定基準の考え方

たとえば気分(感情)障害では、次のように定められています。

  • 1級:高度の気分、意欲・行動の障害……があり、常時の援助が必要なもの
  • 2級:気分、意欲・行動の障害……があり、日常生活が著しい制限を受けるもの
  • 3級:病状は著しくないが……労働が制限を受けるもの

※障害基礎年金には3級がないため、初診日に国民年金だった方は2級以上でないと受給できません。

3-2.診断書の2つの評価欄がカギ

精神の障害用の診断書には、次の2つの評価欄があります。

① 日常生活能力の判定
日常生活のさまざまな場面について、医師が7つの項目ごとに4段階で評価する欄です。

② 日常生活能力の程度
全体としてどの程度の支障があるかを、5段階で評価する欄です。

この2つを組み合わせて、**障害等級の「目安」**が決まります。


4.「目安」はあくまで目安

ここが非常に重要なポイントです。

日本年金機構のガイドラインには、次のように明記されています。

障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。

つまり、目安はスタート地点にすぎず、最終的には診断書全体や病歴・就労状況等申立書を含めた総合評価で決まります。

だからこそ、ご自身の状態を正確に伝える書類作成が結果を大きく左右するのです。


5.働いていても受給できます

「仕事をしているから無理ですよね」とよく言われますが、これは誤解です。

ガイドラインには、はっきりとこう書かれています。

労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。

つまり、働いているかどうかという事実だけでなく、どのような配慮を受けながら働いているかまで見るというルールです。

  • 障害者雇用や就労支援施設を利用している
  • 短時間勤務や業務内容の軽減を受けている
  • 上司や同僚のサポートがあって初めて続けられている

こうした事情は必ず書類に記載すべき重要な情報です。「働けているから大丈夫」と自己判断で省略してしまうと、実態より軽く評価されてしまう恐れがあります。


6.よくある誤解

6-1.誤解①「精神疾患は障害年金の対象外」

対象です。統合失調症・うつ病・双極性障害・発達障害・知的障害などが含まれます。

6-2.誤解②「うつ病と診断されれば必ず受給できる」

病名だけでは決まりません。日常生活にどの程度の支障があるかが判断材料です。

6-3.誤解③「障害者手帳を持っていれば自動的にもらえる」

障害者手帳と障害年金は別の制度で、審査する機関も基準も異なります。手帳2級だから年金も2級、ということにはなりません。

6-4.誤解④「初診日はメンタルクリニックに行った日」

必ずしもそうとは限りません。たとえば、不眠や倦怠感で内科を先に受診していた場合、そちらが初診日になることがあります。

初診日が変わると、受給できる年金の種類や納付要件の判定も変わります。詳しくは「障害年金の初診日とは?」の記事をご覧ください。


7.まとめ

  • 精神疾患は障害年金の対象。統合失調症・気分障害・器質性精神障害・てんかん・知的障害・発達障害の6区分
  • 人格障害と神経症は原則対象外。ただし精神病の病態を示す場合は例外あり
  • 等級は病名ではなく日常生活への支障の程度で決まる
  • 目安はあくまで参考で、最終的には総合評価
  • 働いていても受給できる。どんな配慮を受けているかを正確に伝えることが大切

精神疾患の障害年金は、診断書と申立書の内容で結果が大きく変わります。ご自身の状態をうまく伝えられるか不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。


参考資料

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